日常の出来事を語ると思いきや百合な話が満載な日記です。
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【くちびるチョコレート】

2014-02-14 Fri 23:06


バレンタイン小説、UPです(`・ω・´)

後日談的なお話でややぴかもそのうちUPしますので~!!




「早く来て正解だったかも」

バレンタイン前日の2月13日。
バレンタイン限定チョコレートのために早起きして街まで来たのだ。


(千代ちゃんの為に……絶対ゲットするんだからっ!)


最悪、先輩方にはコンビニのチョコでもいいやと思いながらこの日に賭けていた。
よしっ、と気合を入れて、蕾は人ごみの中へと突撃していく。
目的のものは決まっているから迷う事はないが、人気商品なので売り切れていない事を願うばかりである。


(開店してまだ30分も経ってないのに……売り切れてることは無いよね…?)


不安に思いながら目的のブランド品チョコレートを探す蕾。


「………あ!」


見つけた。
残り一個しかない商品を何とか手にとって、喜びを隠せなくて思わず両手で抱きしめた。


「やったぁ!…残り一個とか、人気商品は売れるのはやいのね」


「はぁ~い、つ・ぼ・み・ちゃん」

「きゃあ!?」

急に両肩をがっしりと掴まれたので驚いて大きな声が出た。
店内がざわついているので、誰かに見られるような事は無かったが恥ずかしくて思わず口元を手で隠す。


こんな事をしてくる知合いなんて、一人ぐらいしかいない。

蕾は勢いよく振り向いて睨みつけるが、睨まれた本人は何とも言えない笑みを浮かべている。


「……まさかこんなところで夜々先輩に会うとは思いもしなかったのですが…何か御用ですか?」


「用ならあるわよ。あんたの手に持っているチョコレートにね」


「なっ、他の限定チョコだってたくさんあるじゃないですか!」


「私だってそのチョコレートを買うつもりだったのよ」



じりじりと後ずさりながら蕾も言い返す。


「そうだったんですか。残念でしたね、私のチョコで最後だったみたいです」


「良いから早く渡しなさい、あんたのものは私のもの、私のものも私のものよ!」


「どっかのガキ大将ですか!そんな条件飲めますか!」


蕾は夜々を振り切る為に再び人ごみの中に紛れ込んだ。

「ぁ、待ちなさい!」



後ろから夜々の声が聞こえたが、構わずに走ってレジへと駆け込む。


周りを見ても夜々の姿は見えない。
蕾を探しているのかそれとも諦めてくれたのか。



(買ってからしつこく追いかけてきたら面倒だから、会わないように早く帰らなきゃ)



下手したらいちご舎に着いてからも部屋に来るかもしれない。
最悪な事態も考えて、蕾はある結論に至った。




*****


「……出来ました、あとは冷やして固めるだけですっ」


チョコレートのおかげで部屋は少々甘い香りに包まれていて、それだけでお腹いっぱいになりそうな空気である。
蕾が好きと言っていたトリュフチョコレート。


「ちゃんと美味しく出来たはず、です」


蕾の笑顔を想像すると、勝手に頬が緩んでしまう。
両手で頬をおさえてニコニコしながら妄想を広げる。


「…っは、そうでした、チョコを冷やさなきゃです」



自分のドジ具合はよく理解しているから、転ばないように慎重に冷蔵庫に運ぶ。


「大丈夫、です、ね」


パタン、と冷蔵庫を閉めて、ほっと一息つく。
甘い香りをどうにかする為に窓を開けようとしたが、それと同時に部屋のドアがノックされた。


「千代ちゃん、いる?」


「!」


ドアの向こうからはまさかの想い人の声。
嬉しさですぐに出迎えようとドアに駆け寄るが、自分の格好と部屋の状況を思い出してその場に踏みとどまる。


(キッチンもまだ片付けていないですし、まだエプロン付けたままでした、あぁ…)


思いっきりチョコレート作っていました、という姿を見られるのは恥ずかしい。
迷いながら、とりあえずドア越しに声をかける。



「つ、蕾ちゃん、ごめんなさい、今はちょっと……」


「えっ、……どうしてもだめ?ちょっとでいいんだけど」



寂しげな蕾の声を聞くと、もうドアを開けたくなる。


「蕾ちゃん、10分……5分だけ、待ってくださいっ」


「ぅ、うん、わかった」



慌てて片づけたけれども、部屋の匂いだけはどうにもならない。
寒くならない程度に換気をする為に少しだけ窓を開けて、自分が身に着けていたエプロンを外して何とか完了。


「ぉ、おまたせしました」


「………ふふっ」


千代の顔を見るなり笑いだす蕾。


「え?なんですか?」



「ううん、なんでもない」


そう言いながらも笑みが崩れない。
何かおかしかっただろうか、と鏡で自分の姿を確認しようとしたが、蕾に手首をつかまれた。


「千代ちゃん、チョコついてるわよ」


「え?ど、どこに……っ!?」


どこについているかは分からないけれどとりあえず手で拭おうとしたが、蕾の顔が近付いてきて、唇の端をペロリと舐められた。



その後頬にも何度か唇をおとされて、ようやく解放された。


「ん、おいし。私の好きな味かも……ねぇ、千代ちゃん」


「はい?」


「その、…きょ…今日の夜、私の部屋に来ない?……友達も別の部屋に行くし…暇になる、というか…」



ちらちらと千代を見つめながら呟く蕾。
そんなに不安そうな声を出さなくても、答えは決まっている。


(でも、チョコレートが……夜までに冷えてくれるでしょうか……それとも、明日の朝に蕾ちゃんに…)


「千代ちゃん、ダメ?」


「だ、だめじゃないですっおじゃまします!」


よかった、と嬉しそうに微笑む蕾の顔を見ているだけで、それだけで千代は幸せいっぱいになるのだった。



****


夕食を食べ終わってから夜々に接触しないように即座に部屋に着いて、どうにかチョコを守りきった。
13日、午後23時55分。

バレンタインまであと少し。


(早く、早く時間経って!)


どうして起こされているのか分からない千代は、うとうとしながら蕾の肩にもたれている。


「千代ちゃん、あと少しだから…」


「…?、はい…」



残り2分。
千代が蕾に寄り添っている反対側に、チョコレートを用意してあるのだ。


「寝ちゃダメ!」


「あぅう……もう限界です」


「千代ちゃん、眠ったらキスしちゃうからね!……ぁ、いや、じょ、冗談に決まってるでしょ!」



願望が口に出て焦って誤魔化すが、千代は何も聞いちゃいない。
そんな事をしているうちに、深夜0時を過ぎて2月14日になっていた。


「14日になった!…千代ちゃん、これ、あげる」

「え…え?チョコレート、ぁあ、千代のチョコレートは部屋に……」

「千代ちゃんのは今日の放課後ゆっくり味わって食べるからいいの!」

「蕾ちゃん、ありがとうございますっ」


「さ、食べて」

「え?」

「全部食べて」

「え?今ですか?千代もゆっくり食べたいです…それにこれ、雑誌に載っていた限定チョコレートですよね?」

「ま、まぁね。たまたま店に行ったら売ってたから、買っただけだけど」


それならなおさらゆっくり味わいたいです、と呟く千代。
これでは埒があかない。

このままモタモタしていたら夜々が乗り込んでくるかもしれない。
さすがにそこまではしないだろうとも思いたいが、お店で出くわした時の気迫を思い出したらもしかしたら遣りかねない。



「千代ちゃん、そんなこと言わないで早く食べ…ん、」

言葉の途中で何かが口の中に入る。
「それじゃあ、蕾ちゃんも一緒に食べましょう?」


「………うん」


千代の肩を抱き寄せて、顔を近づける。
口の中にチョコレートが残っているまま、唇を重ね合わせる。
舌を器用に使ってお互いの口の中を行き来しているうちに、いつの間にやらチョコは溶けてなくなっていた。




(……あまい)



「甘くて、美味しい…」


「は、はい…」



独り言のように呟くと、それが聞こえていたようで千代の頬が一瞬で赤に染まる。



「ほら、千代ちゃん。……まだ、チョコは残ってるんだから」




再び始まる口付け。
甘い、甘い時間は夜が明けるまで続いた。


――――その昼間に夜々に出くわして、延々と嫌味を聞かされる羽目になる事を、この時の蕾は考えるはずも無かった。

END





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