日常の出来事を語ると思いきや百合な話が満載な日記です。
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【お弁当ラブ!】

2008-09-25 Thu 04:26



光莉の料理が恐ろしく下手だったら……を想像して書いてみました。

ややぴかメインですがちょっとつぼちーもあります。






「はぁ……疲れた疲れた。早く食堂に行きましょ」


せっかくの休日が聖歌隊の練習のせいでつぶれてしまったからか、夜々は気だるそうに呟く。
本当ならばサボろうと考えていたのに、空気を読まない後輩に見つかってしまい、行かざるを得なくなった。


「まったく、何でせっかくの休みにこんな……」

「“新しい歌の楽譜を配るから必ず来てください”って言われていたじゃないですか」


呆れたようにため息をつく後輩の蕾に苛立った夜々は、眉を顰めながらわざと大きく声を出して挑発するつもりで言い返す。


「私はあんたと違って色々忙しいのよ。光莉との愛を語らう時間が減ってしまうわ」


「……忙しいって、どうせ寝てるだけじゃないですか。それに…私だって……ち、ちよちゃんと……ごにょごにょ」


後半部分は聞き取れなかったが、きっと夜々にとってはどうでもいいことだろうからそのまま聞き流しておいた。
それよりも、先ほどから何も言わずに黙り込んでいる光莉が気になってそちらに目を向ける。


「光莉、どうしたのよ。さっきから黙って……」


「そういえばそうですね。……光莉先輩、どうかしましたか?」


「え?あ、えぇと、あのね、…わたし、お弁当作ったの」


「へぇ!何々?私のために?」


わざわざ言いにくいことを聞く夜々。
顔を紅くしている光莉と目を輝かせている夜々を交互に見る蕾は再びため息をつく。
邪魔者は退散しますね、と呟いてその場を去ろうとした蕾の背中に光莉は声をかけた。


「ぁ、良かったら蕾ちゃんもどう?」

「……え?私も良いんですか?」

ぽっ、と蕾の頬が赤らむ。
しかしすぐに表情を変えて、わざとらしく両腕を腰に当てて


「ま、まぁ、…先輩の誘いは無下には出来ませんよね」

「来なくて良いって」

「もう、夜々ちゃん」


光莉を間に挟みながら、二人の口論は長々と続いた。


*****


食堂に行くと、その近くをうろうろしている人物がいた。
ミアトルの制服を着ているその少女は誰かを待っているように見える。
最近、お茶会で会うようになった他校の後輩の月館千代である。
そしてこちらの方に目を向けると、愛らしい笑顔を向けてきた。
……可愛いな、と思ったが、それは明らかに夜々のためのものではないだろう。


(おそらく私の隣にいるこいつに向けたものよね)

夜々の心の声が聞こえたのか、蕾は一度睨んでから千代の所へ走っていく。
遠目からそれを見ている夜々と光莉。
どうやら千代もお弁当を作ったらしく、蕾にそれを差し出していた。
当然、素直じゃない蕾は素っ気無い態度をとっていたが、顔を真っ赤にさせているそれは嬉しくてしょうがないという証拠であろう。
わざわざ遠くで見ていることもないと感じた夜々は光莉と共に二人のところへ近づいていく。


「ぁ、夜々さま、光莉さま、ごきげんよう」

「こんにちは。千代ちゃんもお弁当作ってきたんだね」

「は、はい……蕾ちゃんが、聖歌隊の練習があると言っていたので……応援のためにと」

「べ、別に応援なんていらないわよ……でも、お弁当がいらないわけじゃないけど…」


人様がラブラブなのは見ていて不快である。
夜々は光莉の手を引いて近くの椅子に腰をかけた。
蕾と千代も同じテーブルに座る。
いよいよお弁当のお披露目である。
光莉が照れくさそうにお弁当の蓋を開けた。

「「…………」」


その瞬間、夜々と蕾の体は固まる。
今までに見たことないくらいものすごい物体がお弁当箱に詰まっている。
一気に顔が青ざめた蕾は、千代のお弁当に夢を託した。
すると幸運なことに千代のお弁当はほんわかとした愛情詰まった普通のお弁当で。
凄く救われたような表情をした蕾は、哀れむように夜々を一瞥する。
そんな視線を逃さなかった夜々は蕾の首根っこを掴む。


「うぐっ!…な、な、何ですか!!」

「ほら、光莉のお弁当食べたいって言っていたじゃない?特別に最初に食べさせてあげるわよ」

「うん、蕾ちゃん、どうぞ?」

「うぇ……ぁ、じゃ、じゃなくて……えぇと…………っく、いただきます…」


夜々の命令には従いたくはないが、光莉が期待の目で蕾を見ている。
それに抗うことは出来ない蕾は震える手で箸を握り、光莉のお弁当を摘もうとする。
真剣な表情で選んだ結果、黄色いものを選んだ。おそらく、卵焼きだったと思われるものだ。

「……っえい!」

目を瞑りながらそれを口にした蕾。
蕾の反応を待つ夜々。
初めは普通に咀嚼をしていたが、徐々にそれが鈍いものに変わっていく。

「……ぅぐ…っ…これはまず……いだっ!!」

蕾が言葉を発する前に夜々は思いきり頭を叩く。
そして鋭い目線だけで蕾に言い聞かせると、蕾は苦しそうに呟く。

「あまいようなすっぱいようなとけているようなドロリとしてしつこく味が舌に絡み付いてきます」

「つまり、マイルドな美味さってことね」

「えへへ、本当に?良かった~」

夜々の有り得ない訳に蕾は眉をひそめるが、光莉が喜んでいる手前、何も言えない。
蕾のおかしな様子に千代は首を傾げつつ、光莉のお弁当箱を見て


「あの、光莉さま、千代も「千代ちゃん!!!!!ぁ、あっち!あっちでお弁当食べましょ!ほ、ほら、あーん、って食べさせてよ!!食べさせ合いしましょ?ね?ね?!」


食べたがる千代の声を蕾の声で掻き消す。
千代には苦しい思いをさせたくないのだろう、蕾はいつになく必死だ。
あまりに必死すぎて本音が混ざりまくっている。
ムリヤリ千代と千代のお弁当を手に、逃げるように別の場所へと避難する蕾。
これはもうやるしかない。
腹を括った夜々は、光莉のお弁当に箸をつける。


「…光莉、いただきます」

「うん、どうぞ」


「えへへ…蕾ちゃん、あーん、してください」

「し、し、しかたないわね…っ、ぁ、あーんっ」

何となく隣のテーブルを見てみると、蕾と千代が言った通りに食べさせあいをしていた。
蕾もさっきとはまるで別人のように頬が緩んで嬉しそうにしていて。
恐らくそれはお弁当の中身も大変良いものだからというのもあるだろう。

「むぐむぐ、……ん、美味しいわね。これならいつお嫁さんになっても良いわね……ゎ、私の」

「つ、つぼみちゃん…」

ええい忌々しい。
悪態を吐きつつ再び弁当に目を移す。
頬を赤らめながら見られているのだから、食べないわけがない。
光莉が夜々のために作ってくれたのだ。残すわけがない。
たとえどんなものだとしても、食べきってみせる。
それが私の愛よ!!!
そう自分の心に決意を秘めながら、夜々は黒い物体を口にした。

「……ガリッ」

一噛みしただけでこの効果音。

(………歯、やられたわね)

しかしもう後には引けない夜々は構わずにお弁当の中身を全て食べつくした。
お腹の中が何故かゴロゴロ言っていて非常に苦しいが、それも何とか堪えて夜々は笑顔を作り光莉に言った。


「……ありがとう、光莉。と、とってもおいしかった」

「ぁ、ありがとう夜々ちゃん。……また作ってくるね」

「…ぇ、ええ」


次の日、夜々は腹痛で学校を休んだ。
光莉の料理が上手になるまで、しばしこのような日常が続いたそうな。



END






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